2024.12.16コラム
【学校法人会計基準の改正(2025年度)】
【学校法人会計基準の改正(2025年度)】
周知の通り、私立学校法が改正され2025年4月1日より施行されますが、これに併せ学校法人会計基準も改正されます。
2024年1月31日に発出された「学校法人会計基準の在り方に関する検討会」の報告書によると、今回の学校法人会計基準の改正は計算書類の体系や表示方法の改正に留まり、会計処理に関する改正は特に示されていませんでしたが、2024年9月30日に公布された学校法人会計基準の最終改正版によると、新たに「負債」の節が追加されており、会計処理に関する大きな改正が行われています。
第三節 負債
(負債の評価)
第十一条 負債については、次項の場合を除き、会計帳簿に債務額を付すものとする。
2 退職給与引当金のほか、引当金については、会計年度の末日において、将来の事業活動支出の発生に備えて、その合理的な見積額のうち当該会計年度の負担に属する金額を事業活動支出として繰り入れることにより計上した額を付すものとする。
つまり、第十一条第2項に規定されている通り、退職給与引当金以外にも引当金の要件を満たすものは計上しなければならなくなります。これにより、ほとんどの学校法人で新たに計上を要する引当金として賞与引当金が考えられます。
賞与引当金計上の対象となるのは、決算年度の翌年度の夏季賞与です。賞与の支給対象期間が給与規程等で定められている場合、翌年度の夏季賞与の金額を合理的に見積もり、その見積額のうち当年度の負担額を「賞与引当金繰入額」として事業活動収支計算書の人件費に計上し、同額を「賞与引当金」として貸借対照表の流動負債に計上することになります。また、この夏季賞与に係る所定福利費の金額も合理的に見積もり、当年度の負担額を賞与引当金に上乗せして計上することになります。
(設例)
翌年度の教員の夏季賞与支給見積額20,000千円(対象期間1月1日~6月30日)
これに係る所定福利費の見積額2,000千円
当年度:
総勘定仕訳 賞与引当金繰入額 11,000,000 / 賞与引当金 11,000,000
※ 当年度の負担額は2分の1(1月1日~3月31日)として計算されます。
翌年度:
資金収支仕訳 教員人件費支出 22,000,000 / 支払資金 22,000,000
総勘定仕訳 賞与引当金 11,000,000 / 教員人件費 11,000,000
なお、賞与引当金以外にも、投資損失引当金、債務保証損失引当金等の計上が考えられます。